南北に長いベトナム

アジアの国FDC(初日カバー)が続きますが、今日はベトナムです。上のカバーは1964年に北ベトナムからジュネーヴ協定10周年を記念して発行された切手(左側の切手)を同日発行された別の切手とともに貼って、ベトナムの地図が描かれた初日記念印を押した記念カバーです。 ジュネーヴ協定は、1954年に締結された第一次インドシナ戦争の休戦協定です。第一次インドシナ戦争はインドシナ半島を支配していたフランスに対して1945年にベトナム民主共和国(北ベトナム)樹立を宣言したベトミン(ベトナム独立同盟)と、ベトナム国(南ベトナム)を成立させて対抗するフランスとの間の戦争で、中国やソ連が承認したベトミン側が1954年に勝利します。 ジュネーブ協定の結果、ベトナム、カンボジア、ラオスの独立と1956年にベトナム統一自由選挙の実施などがフランスを含め合意されますが、南ベトナム側とアメリカが署名せず、1962年にアメリカが軍事介入してベトナム戦争(第二次インドシナ戦争)へと発展していきます。 記念印にはジュネーヴ協定の内容を改めてアピールするように南北統一されたベトナムの地図が描かれていますが、その南北の長さが特徴的です。ちなみに現在は統一されているベトナム国土の南北の長さは約1650㎞あります。 ======================== ▶▶地図切手総合サイト【小さな地図の博物館】◀◀ ========================

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タイ地図切手図案加刷

前回に続いてアジアの国のFDC(初日カバー)です。上のカバーは、1971年の8月4日から8日まで開催された第1回のタイ国内切手展を記念して発行された切手を貼った初日カバーです。この切手は特別な発行形態で、1963年に発行されていた国王ラーマ9世を描いた切手の田形ブロックに、タイの地図を描いた切手デザインを加刷して発行されたものです。初日の記念印はカバー中央上部に、やはりタイの地図を描いたデザインで発行初日の8月4日の日付が入っています。 カバー左のカシェの部分には1883年8月4日に発行されたタイ最初の切手5種が示されています。すなわち、この切手展はタイ最初の切手の発行日に合わせて開催されたということになります。なお、この5種の切手に描かれているのは、当時の国王ラーマ5世です。 タイでは近年、世界展やアジア展といった国際切手展がしばしば開催されますが、その場所は首都のバンコクということになります。バンコクとその北に位置するアユタヤは観光地としても人気がありますが、バンコクの位置は記念印の図案の地図では”AUGUST”の”U”の字の上当たりになります。タイランド湾に注ぐチャオプラヤ川の河口部で、タイ全体の国土では中央部になります。タイの国土はさらに細長く南へ伸びていますが、この部分はマレー半島の基部に当たり、国境を越えるとマレー半島の中心部でマレーシアの領土に続きます。この細長いタイの南部にはバンコクと並ぶタイの観光地プーケットがあります。 ================…

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南北朝鮮境界線

北朝鮮の金正恩総書記が先日の軍事記念日に合わせた演説の中で、「有事に韓国の領土を占領するのが国是だ」と述べた上で、韓国は平和統一の対象ではなく敵対国とみなして軍事力の行使も辞さないという方針を強調したそうです。 ということで、今日取り上げたのは南北朝鮮の軍事境界線が描かれた切手と初日記念印が組み合わさった初日カバーで、この切手は2003年にカナダから朝鮮戦争休戦協定50年を記念して発行されたものです。1953年7月の休戦協定で休戦ラインが設定され、これが軍事境界線として現在も存続しています。すなわち戦争が終結した後の正式な国境線ではないわけです。 この軍事境界線は38度線と称されることが多いですが、実際には北緯38度の緯線に沿っているわけではなく、切手印面の赤い線が示すように38度の緯線を跨ぐようにかなり複雑な曲線になっています。この境界線を中学や高校などで使われている地図帳で確認すると、通常の赤い国境線ではなく破線で示され軍事境界線と書かれています。 切手印面にはこの朝鮮戦争に派遣されたカナダ兵の様子などを撮った写真が示されていますが、カバーの裏面の説明によると、約27,000人の兵が派遣され、500人以上が命を落としたと説明があります。 なお、今回の演説で金正恩総書記は、韓国との境界線について「国境線」という表現を使ったということです。 ======================== ▶▶地図切手総合サイト【小さな地図の博物館】◀◀ ========…

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ラテンアメリカ経済委員会

今日もラテンアメリカが描かれた地図切手です。ただ、デザインの関係で図案の地図はメキシコと南米大陸が示されており、中米とカリブ海地域は歯車のデザインでほとんど隠れてしまっています。 上の切手は、印面の周囲の表記が英語、フランス語、スペイン語、ロシア語、中国語で国連とあるように、1961年に国連からラテンアメリカ経済委員会をテーマに発行されたものです。 ラテンアメリカ経済委員会は、国連の経済社会理事会に属する地域経済委員会のうちの一つで、1948年に設立されます。文字通りラテンアメリカ地域の経済社会発展の促進を目的としており、ラテンアメリカ33か国に加えて域外13か国を含め46か国が加盟しています。なお、域外加盟国の一つとして日本も加盟しています。さらに準加盟地域としてカリブ海地域の切手発行でおなじみの英領、仏領、オランダ領の島や米領の島も加盟しています。 なお、1984年に名称がラテンアメリカ・カリブ経済委員会に改称されています。 ======================== ▶▶地図切手総合サイト【小さな地図の博物館】◀◀ ========================

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ラテンアメリカデザイン地図

前回、南北アメリカ大陸のうちメキシコ以南のラテンアメリカを描いた地図切手を紹介しましたが、今日も同じくラテンアメリカを描く地図切手を取り上げました。ただし、今日の地図は通常の地図とは異なって、いわゆるデザイン地図という感じの地図になります。 図案の地図を眺めるとラテンアメリカ地域を描いた地図と分かるわけですが、よく見ると地図を構成しているのは太めの横線だけです。横線のみによって描かれたデザインになっているのです。それでも南米や中米地域の大陸の形状が実際に近い状態で違和感なく見ることができます。メキシコのカリフォルニア半島やユカタン半島がはっきり分かり、南米のオリノコ川、アマゾン川、ラプラタ川の河口付近の微妙な表現が見てとれます。 カリブ海諸国は、さすがに小さい島が連なる小アンティル諸島の部分は描かれていませんが、キューバ島、ジャマイカ島、イスパニョーラ島(ハイチとドミニカ共和国からなる)と思われる3つの島を描いています。ただ欲を言うと、キューバ島をもう少し長く描き、その右下にイスパニョーラ島、キューバ島の右端部の下にジャマイカ島を配置させたら実際の位置関係により近くなるのではと思ったりします。それでも全体としてはラテンアメリカの範囲を示す、見ていて楽しくなる優れたデザイン地図だと思います。 この切手は2001年にウルグアイから、ラテンアメリカ諸国における会議機構の第17回連合会議開催を記念して発行されたものです。 ======================== …

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