ケバ

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 起伏を表現する方法として,等高線の入った地形図を紹介し,そこから話は地形図が完成するまでの測量の話へと転じてしまいましたが,話を戻し,起伏表現の方法として等高線以外の方法も紹介したいと思います。

 その一つに「ケバ」と呼ばれる短い線による起伏表現があります。ケバは地形の傾斜方向に,緩やかな傾斜の所は細く,急な傾斜の所は太く,狭い間隔で平行に描きます。ということは,急傾斜の所ほど線の間隔はより狭くなり,黒っぽく見えるわけです。

 山地の傾斜の緩急を視覚的に読みとりやすいので,大砲の射撃に欠かせない地図として,ヨーロッパでは19世紀においては軍用地図の起伏表現に多く用いられました。

 そこで,今日の切手は1991年にイギリスから地図測量200年を記念して発行された切手で,同一地域の各時代の地図4種のうち,1816年製作の陸軍陸地測量局による地図が図案のものを取り上げました。図案をよく見ると,ケバが用いられて丘陵地帯の斜面を表しています。

 ただ,ケバによる表現が威力を発揮するのはやはり山岳地帯の場合で,このような丘陵地帯の地図では効果はやや落ちる感じがします。

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