料額印面に描かれた地図(2)

前回に続いて、葉書の料額印面に描かれた地図を取り上げます。上の葉書は、中華民国(台湾)から1957年(民国46年)11月に発行された官製葉書ですが、裏面に日本語の”恭賀新年”に相当する文字が印刷されていることから次年度用の年賀葉書ということが分かります。 1957年ということは、現在の中国(中華人民共和国)と台湾とは逆の関係で、中華民国(台湾)が国連加盟国でさらに国連安全保障理事会の常任理事国という立場でした。印面には同年に発行された地図切手12種と同じ図案の地図が描かれており、光り輝く台湾とともに、大陸部には「大陸を取り戻せ」の意の”光復大陸”の文字が示されています。 さらに地図をよく見ると、大陸部を描いている範囲には、1946年に中華民国から独立していたモンゴルの領土も含めて描いています。 ======================== ▶▶地図切手総合サイト【小さな地図の博物館】◀◀ ========================

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料額印面に描かれた地図

消印に描かれた地図図案が続きましたが、今日取り上げたのは葉書の料額印面に描かれた地図です。上の葉書は1982年にスリランカで開催された全国(国内)切手展の開催に際して発行された記念葉書で、料額印面にスリランカの国土であるセイロン島の地図が描かれています。 面積6.6万㎢と北海道を一回り小さくした感じの大きさで、南北にやや長く北西部の海岸線は複雑で、いくつかの半島が突き出す様子が分かります。この北西部はポーク海峡をはさんでインド南部のタミルナドゥ州と対峙しています。ちょうど年号が表記されている当たりの島の中央南部寄りに山地が分布し、南西モンスーンが南西側斜面を中心に多量の降水をもたらします。その周辺がセイロン紅茶の産地ということになり、インド南部から移住してきたタミル人が茶園の労働力として働いています。 スリランカでは多数派で仏教徒のシンハラ人とヒンドゥー教徒のタミル人の対立が長く続きましたが、2009年に内戦は終結しています。同国ではシンハラ語とタミル語両方が公用語になっており、切手印面にも英語とともにこの二つの言語の表記があります。今日取り上げた記念葉書の料額印面も同様の表記になっており、右側の英語に対して、下側がシンハラ語、左側がタミル語の表記になります。また、料額印面の左側葉書面にも英語のPOST CARD、ADDRESS ONLY HEREに対してシンハラ語とタミル語の表記があります。 ちなみに言語的には、シンハラ語はインド=ヨーロッパ語族、タミル語はドラヴィダ語…

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カナダの領土

前回、カナダの官製葉書に押された南北アメリカ大陸を描いた地図が図案の消印を紹介しましたが、その地図にはカナダの島々も描かれていました。今日はその島々の分布がはっきり分かるカナダの領土が描かれた地図が図案の消印です。 上のFDC(初日カバー)は、1981年にカナダの日を記念して発行された領土変遷を表す4連刷切手を貼った記念カバーです。記念印に描かれた地図はカナダの領土を示しており、ロシアに次ぐ世界第2位の面積を誇る大国であるカナダは本土部分と周辺の多くの島からなっていることが分かります。前回の記事でも名前を出した北極海諸島(北極諸島)の3つの大きな島のうち、南東部に位置するのが最も大きなバフィン島(バッフィン島)、南西部に位置するのがヴィクトリア島、最も北に位置するのがエルズミーア島です。これら大きな島には先住民であるイヌイットの集落があり、それなりに人口を有していますが、他の小さい島々は一部を除いて無人島が多くなっています。 よく見ると、大西洋岸ではニューファンドランド島はもちろんプリンスエドワード島も、太平洋岸ではヴァンクーヴァー島やクインシャーロット諸島もしっかり描かれています。貼られた切手の図案に示された地図を見ると、1867年に東部4州でカナダ自治領が成立し、1905年の時点で北極海諸島が領土になっていることが分かります。 なお、カナダの日は1867年7月1日にカナダ自治領が成立した日を記念して制定されたカナダの祝日ですが、この切手は前日の6月30日に発行されてい…

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