ボリビア多民族国

南アメリカの国、今日は最後12番目のボリビアです。ボリビアは南米大陸中央部西寄りに位置する内陸国で、西部はアンデスの高地、北部から東部にかけてはアマゾンの低地が広がっています。この低地部は熱帯になりますが、アンデスの高地は高山気候の特徴をもつ温帯になっており、世界一標高の高い首都として知られるラパスの年平均気温は7.7℃です。 住民は昨日紹介したペルーと同様、ケチュア族やアイマラ族を中心とする先住民の比率が最も高く、先住民と白人の混血メスチソを上回っています。言語に関してもペルー同様、スペイン語以外にケチュア語、アイマラ語が公用語になっていますが、ボリビアではこの2言語に加えて30以上の先住民の言語も公用語になっている”多民族”国です。実際には、都市部ではスペイン語以外はほとんど話されていません。 経済の中心は鉱業で、輸出品目の上位4位までは天然ガス、金、亜鉛、銀で、これらを合わせて輸出総額の約3分の2を占めています(2021年)。亜鉛や銀の他、すず、タングステン、アンチモンは世界上位の産出をあげ、ウユニ塩湖に埋蔵されているリチウムは世界有数の埋蔵量を誇ります。 上の切手は、1945年にロイドボリビア航空(LAB)設立20年を記念して発行された航空郵便用切手の1種です。印面にはボリビアの地図が描かれ、当時の航空路線が示されていますが、首都のラパス(事実上)やオルロ、スクレ(憲法上の首都)など中心的な都市の多くが西部アンデス高地に位置しています。 この地図をさらによく…

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ペルー共和国

南アメリカの国、今日はペルーです。ペルーは南米大陸の太平洋岸に位置する国で、西部をアンデス山脈が南北に走り、その東側はアマゾン川の上流部になります。気候はアンデスの西側太平洋岸は砂漠、アンデス高地は高山気候の特徴を持つ温帯、アンデスの東側アマゾン低地は熱帯と変化に富んでいます。 住民はケチュア族やアイマラ族を主とする先住民の比率が最も高く、先住民と白人の混血メスチソを上回っており、スペイン語に加えてケチュア語とアイマラ語も公用語になっています。ちなみに、南アメリカの国の住民構成で先住民の比率が最も高いのは、このペルーとボリビアの2国のみです。 経済の中心は鉱業で、世界第2位(2017年)の銅鉱、銀鉱、亜鉛や金、鉛、各種レアメタルなど数多くの鉱産資源が世界上位の産出をあげています。ペルーの輸出総額のうち、銅鉱と精錬した銅を合わせると約3割、鉱産資源全体では約5割を占めています。 上の切手は、1981年に国際障害者年を記念して発行されたもので、印面にはそのシンボルマークとともにペルーの地図が描かれています。国土形態が分かりやすい白地図ですが、西側の比較的単調な斜めのラインが太平洋の海岸線です。北西部はエクアドル、北東部はコロンビア、東部の大きくカーブして入り込む形の部分がブラジル、南東部はボリビア、さらに南端部の太平洋岸ではチリと、合わせて5つの国と国境を接しています。地図をよく見ると、ボリビアとの国境付近にラインが描かれていますが、これは両国にまたがる南米大陸最大の湖で、富…

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ベネズエラ=ボリバル共和国

南アメリカの国、今日はベネズエラです。先住民と白人の混血メスチソが住民の約3分の2と多数を占めるベネズエラは、南米大陸北部に位置して北部はカリブ海に面しています。中央部には大河オリノコ川が流れ、その流域を中心に熱帯気候が広がりますが、カリブ海沿岸は例外的な気候区分となるステップや砂漠の乾燥気候が分布しています。 OPEC(石油輸出国機構)の原加盟国の一つである産油国で、現在はエクアドルが脱退したため、南北アメリカで唯一のOPEC加盟国となっています。原油の産出量は減っていますが、埋蔵量はサウジアラビアとほぼ同量の世界第1位(2020年)を誇ります。他に天然ガス、鉄鉱石、ボーキサイトなども多く産出しますが、経済の中心は当然石油ということになり、総輸出額の大部分を原油と石油製品で占めています。 ただ、反米、社会主義路線のチャベス政権以降、石油会社の国営化やアメリカの経済制裁などの影響が続き、外国企業の撤退や設備の老朽化も含めて悪循環に陥り、埋蔵量世界第1位でありながら産出量が減り、国内でガソリンが不足するという深刻な状況にもなっています。 上の切手は、1930年に発行された航空郵便用の切手の1種で、印面には南米大陸北部の地図が描かれ、ベネズエラと周辺国が国境線入りで示されています。西側でコロンビア、南側でブラジル、東側でガイアナと国境を接しているのが分かりますが、ベネズエラはガイアナのエセキボ地方の領有をし続けています。地図をよく見ると、中央部を西から東へ流れるオリノコ川の流…

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