アルゼンチンの南極領有主張切手

アルゼンチンの領有主張地図切手、まだまだあるということで、上の切手は1979年に陸軍地理局100年を記念して発行されたものです。地図にはアルゼンチンの領土を黄色で示し、さらに赤い線で囲っています。 南極大陸の一部も黄色になっているのが注目点ですが、南極大陸は1959年に調印された南極条約によって領土権は凍結されています。しかし、南極大陸に近い南半球の国や初期の南極大陸探検で実績のある国が、南極大陸を分割する形で領有権を主張しています。 アルゼンチンや隣国チリもその一つで、それぞれ自国の領有主張地域を地図で示す切手をしばしば発行しています。上の切手図案の地図は、正射図法の斜軸投影で描かれた地図で、地球を遠くから眺めた感じで描かれる特色の図法です。 よく見ると、経緯線が15度間隔で示されているのがわかります。ただ、南米大陸周辺は、アルゼンチンの中心部を通る西経65度を中心に正しい位置に描かれていますが、アフリカ大陸の描き方はかなりおかしい状態で、アフリカ大陸西端と南端は2本の経線すなわち15度の経度幅で描かれていますが、実際はその倍以上の35度の経度幅があります。無理やり図案の中にアフリカを詰め込んだ感じになっています。

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アルゼンチン領有主張島の位置関係

前回まで3回連続で紹介したアルゼンチンの領有主張の切手ですが、それぞれの島や諸島だけを描いた地図切手でした。そのため、これらの島々やアルゼンチン本土との位置関係がわからなかったのですが、今日取りあげたのは、これら位置関係がわかる地図を描いた切手です。 フォークランド紛争は、1982年4月2日にアルゼンチンが占領しますが、イギリスが、6月16日のアルゼンチン降伏によって奪還します。この切手は紛争の1年後の1983年に発行された切手ですが、アルゼンチン側の正統性を、切手に地図を描いて訴えています。 地図に経緯線が示されていないのが残念ですが、アルゼンチンが領有を主張するマルビナス諸島(フォークランド諸島)、サウスジョージア島、サウスサンドウィッチ諸島の位置関係が非常にわかりやすい地図になっています。

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サウスサンドウィッチ諸島の島の名称

前々回、前回に続いて、今日もセットで発行されたアルゼンチンの領有主張の地図切手です。フォークランド諸島、サウスジョージア島と同様にイギリスが実効支配しているサウスサンドウィッチ諸島で、サウスジョージア島の南東に続く島々です。 イギリス領としては、サウスジョージア島とともにフォークランド諸島の属領という扱いになっている諸島ですが、この諸島を地図で探すと、市販の地図帳レベルや世界地図では、サウスサンドウィッチ諸島の名前はあっても、諸島を構成するそれぞれの島の名前は記載されていません。 これに対して、上の切手図案の地図には同諸島の島々の名前がスペイン語で示されており、各島の名前を知ることができます。 改めて、切手図案は知識の宝庫の源になり得るものだと実感した次第です。切手図案の中には低レベルのものも数多くあるわけですが、この様に質もデザインも素晴らしい切手図案を見ると嬉しくなってしまいます。過去には多くあったわけですが、現在でもなお、専門書や各種事典的な書物で、図版を利用した説明に切手図案が使われている場合があるのも納得のいくところで、切手収集家としてはこれもまた嬉しいことです。

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