アスタナ万博開催中

 日本ではあまり話題になっていないのですが,現在,6月10日から9月10日までの会期で,「未来のエネルギー」をテーマにアスタナ万国博覧会が開催中で,日本も日本館を出典して参加しています。アスタナとはどこの国にあるのかということになりますが,その答は中央アジア,旧ソ連を構成していた国の一つで,面積では世界で9番目に大きい大国カザフスタンの首都です。  そこで,今日取り上げたのが,2015年にカザフスタン民族会議20周年を記念して同国から発行された小型シートです。カザフスタンの主要民族はトルコ系のカザフ族で人口のほぼ3分の2を占めていますが,他にも多くの民族が居住する多民族国家になっています。小型シートには同国の地図とともに,民族衣装を着た各民族が描かれ,民族の調和と連帯をアピールするデザインになっています。カザフ族以外には同じトルコ系のウズベク人,ウイグル人,スラブ系のロシア人,ウクライナ人などで構成されています。  ところで,先に書いたように,現在開催中の万博は「未来のエネルギー」がテーマですが,このカザフスタンは資源大国として知られ,カスピ海周辺で産出される石油は,パイプラインでヨーロッパ,中国に輸出されます。そして,ウランの産出は世界1位(40%:2015年)で原子力発電所の建設も計画されています(ソ連時代に建設された原発は,現在閉鎖されています)。  ちなみに,ソ連時代には,このカザフスタンの北東部に位置するセミパラチンスクで,1949年から1989年の40年間…

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米州ボリバル同盟ってどんな国際機構

 しばらくEU関連の話が続きましたが,このEU,国際機構としては最も知られた存在です。逆に知名度の非常に低い国際機構の一つを今日は取り上げます。上の切手は2015年に米州ボリバル同盟結成10周年を記念してボリビアから発行されたもので,ラテンアメリカの地図と加盟国の国旗が描かれています。  加盟国は9ヶ国で,そのうち4ヶ国はカリブ海の東に位置する小アンティル諸島の小国です。残りの5ヶ国が,カリブ海地域最大の島国キューバ,中米のニカラグア,南米のベネズエラ,エクアドル,ボリビアとなります。さて,このほとんど馴染みのない米州ボリバル同盟,どのような機構かということになりますが,加盟国の顔ぶれから想像できるように,反米的な立場をとる国家が加盟するラテンアメリカ地域の政治,経済協力機構というのがその答で,ベネズエラの故チャベス大統領が主導して2004年に結成されました。  その成果として,ドルによる貿易決済を段階的に廃止する目的で,加盟国のうち上記の5ヶ国間の貿易に関して,スクレというバーチャル通貨の使用が可能になったことがあげられます。  しかし,加盟各国の貿易の実態としては,一昨年にようやくアメリカとの歴史的な国交回復を成し遂げたキューバを除いて,貿易相手国の第1位はアメリカになっています。リーダー的存在のベネズエラの場合は輸出入とも4分の1がアメリカで,輸出のほとんどは原油です。次いで第2位が輸出入とも中国となっており,輸出入の相手上位5位までにこの同盟の加盟国は入っていませ…

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イギリス王室の島オルダニー島

 前回に続きイギリス関係ですが,今日取り上げたのはイギリス海峡に浮かぶオルダニー島,地理的にはフランスに近いのですがイギリス領の島です。  では連合王国のイギリスを構成する4つの国のどこに属するのかということになりますが,実はどこにも属しません。オルダニー島はガンジー島などとともに,内政の自治権をもつガンジー管区に属し,イギリス王室の属領という政治的地位にあります。さらにオルダニー島自体もガンジー管区内で内政の自治権をもつという非常に複雑な関係にあります。  上に示したのは,最近そのオルダニー郵政から発行された同島の地図を描いた小型シートで,島の輪郭に沿ってシート地が切り抜かれているという,超変形小型シートです。島の中央部が目打ちで抜かれた切手部分になっています。  少しわかりにくいですが,島の北東部には鉄道路線が描かれているのですが,これは夏季の休日を中心に運行される観光用の鉄道として残っているもので,小島観光にはもってこいの魅力的な島です。

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