今年の1枚
今年もほとんど更新がないまま大晦日になってしまいましたが,一昨年,昨年と「今年の1枚」という記事だけは更新しましたので,今年も続いてということで取り上げたのが,東ヨーロッパの小国(旧ソ連の一部)モルドバから今年2月に発行された小型シートで,シュトルーヴェの測地事業開始200年を記念して発行されたものです。
ドイツ生まれのロシア人天文学者であるシュトルーヴェは1816年から1855年にかけて,地球の大きさの正確な測定のため,子午線弧の長さを三角測量で測量しました。この三角測量のために設置された三角点群は通称「シュトルーヴェの測地弧」と呼ばれ,三角点の一部が2005年にユネスコの世界遺産に登録されています。非常にめずらしい形の世界遺産ですが,この測地弧,現在の国でみると北はノルウェーから南はウクライナまで10ヶ国にまたがっています。
これらの一部の国から,世界遺産登録後それぞれ記念切手や小型シートが発行されており,地図や三角網,測量器機,そしてシュトルーヴェの肖像等を描くという,よく似た図案が採用されていますが,今回取り上げたモルドバの小型シートは,この測地弧三角網の全体像が国境を示した地図とともにわかりやすく描かれており,モルドバ国内の三角網部分が同国の地図上にはっきり示されている拡大図部分が切手印面になっているというデザイン的にもすぐれたものです。また,右側タブの部分には,測地弧が通過する10ヶ国の国名が北から順に列挙されている点もなかなか良い感じです。
日本では…