メルカトルとプトレマイオス

 上の画像は前回紹介したメルカトル誕生500年記念の小型シートのシート地に描かれた地図の一部,右上端部に当たります。この地図は前回にも書きましたが,メルカトル家からホンディウス家に譲られた地図原版を基にホンディウスが新たに地図を加えて製作されたメルカトル・ホンディウス版アトラスに所収されているホンディウスの世界図です。  地図には陸地部,海洋部をそれぞれの縮尺に応じて書き描くまさに地図の部分以外に,様々な描写,記述が地図の周囲を中心に,場合によっては地図の空白部に示されています。現在の地図においても表題,縮尺表示,方位記号,各種凡例などが表記されている場合が多いようです。逆にこれらが一つでも欠けている地図は,読みづらくわかりにくい地図とも言えるわけです。  ところで,上の画像に示されているように古地図の場合,地図の周囲にしばしば人物像が描かれています。この画像の肖像は古代最高の地理学者と称されるプトレマイオスのものです。この地図が作られた時代にはまだまだプトレマイオスの思想,記述の影響が残っており,メルカトル自身の地図にも影響を与えています。

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