メルカトル生誕500年

  長い間の放置状態で申し訳ありません。久しぶりの更新で,その間にはロンドンオリンピックや尖閣問題など大きく動きのあった2012年ですが,とくに後者に関しては日中間の交流行事中止などの影響が出ているようです。本年度のJAPEXも日中国交正常化40周年を記念する企画展が予定されていますが,郵趣と政治は関係ないということになるのでしょうか。領土問題と切手ということで言えば大いに関係があると言うことになりますが。  さて、地図切手ファンの私にとって2012年というのは注目の年で,メルカトル図法で有名な地図学者ゲラルドス・メルカトルの生誕500年に当たります。各国から記念切手が発行されていますが,今日取り上げた上の小型シートはベルギーから発行されたものです。 中央切手連刷部分の左側切手面に描かれているのが,コンパスを地球儀に当てるメルカトルの肖像です。メルカトルは地図製作以外にも地球儀,地図帳(アトラス)の製作にも従事したことで知られています。地図帳の方はその刊行を前に1594年にこの世を去ったため,メルカトルの意思を継いだ彼の息子によって翌1595年に完成します。その後この地図帳の銅版はアムステルダムの地図製作者ヨドクス・ホンディウスに譲り渡され,ホンディウスはこれに新図を加えて1606年にメルカトル・ホンディウス版アトラスとして出版され,その後30版を重ねます。  右側の切手面に描かれているのがそのホンディウスで,二人が並んでいるこの図は,メルカトル・ホンディウス版アトラス…

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