エルカノ

 前回マゼランの世界周航路のルートマップを紹介しましたが,その時にも書いたようにマゼラン自体はフィリピンで住民との争いに巻き込まれて死んでしまいます。したがって世界周航を成し遂げたのはマゼラン一行と書くのが正しいということになるかもしれません。    そこで今日は,マゼラン死後に世界周航を完成させてスペインへ帰還したビクトリア号の指揮官エルカノを描いた切手です。上の切手は1994年にノーフォーク島から発行された探検家シリーズの1種ですが,エルカノの肖像と航路を描いた地図が図案になっています。  ところがよく見ると,描かれている航路はスペインから南米最南端を経て太平洋に入りフィリピンまでのマゼランが指揮をしたルートです。エルカノを題材にした切手ならば,フィリピンからスペインへの帰還ルートを描いても良さそうなのですが,と思ってさらによく見ると,印面上部には初期の太平洋探検家とこの切手シリーズのタイトルが入っていました。  ということで納得したのですが,このシリーズの額面ちがいでマゼランを描いた切手も発行されており,同じ航路が描かれています。よく考えてみれば,フィリピンまではマゼランが指揮をしたわけでエルカノはその部下の一人になります。すなわち,エルカノをこのシリーズに登場させるのも何となくおかしいような感じもするのですが。

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マゼランの世界周航路

 前回,マゼランの世界周航後に製作されたミュンスターの地図を紹介しましたが,今日はそのマゼランの世界周航路を描いたルートマップです。  上の切手は,1993年にシスカイから発行された探検家シリーズの1種で,図案にはマゼランの肖像と旗艦ビクトリア号そして航路が描かれています。マゼラン一行がスペインのサンルカンを出帆してから大西洋を南下,南米大陸南端のマゼラン海峡をはじめて通過して太平洋に出,西進してフィリピンまでの航路が緑色で示されています。  そして,マゼランがフィリピンで死んだ後の,インド洋を経てアフリカ最南端を通過してスペインへ戻るまでの航路が赤色で示されています。  ちなみにこの切手の発行国シスカイという国は,以前アフリカの古地図切手で紹介した南アフリカのボフタツワナと同様,南アのバンツースタン国家の一つです。

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日米接近 ミュンスターの地図

 前回紹介した1492年製作のベハイム地球儀に描かれた縦長のジパングは,その後しばらく,いくつかの世界地図にも同様の形で描かれベハイム型と呼ばれましたが,前々回に取りあげたトルコのピリー・レイスの地図にも描かれていました。  そこで,今日はもう1枚ということで上の切手です。これは1992年にオーストリアからヨーロッパ切手として発行されたもので,この年のテーマは「新大陸到達500年」でした。  図案の地図は1540年頃にミュンスターによって製作されたもので,南北につながったアメリカ大陸が大きく描かれ,その西にベハイム型の日本が位置していますが,アメリカ大陸にこれほど近く描かれていると,アメリカからすぐにジパングに行けそうです。  そして,この地図が製作されたのは,1522年にマゼラン一行が南米大陸最南端を周回して太平洋に入り世界周航を成し遂げた後ということで,太平洋部分にはその栄光を讃えるように,マゼランの旗艦ヴィクトリア号も大きく描かれています。

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