トルコ 強制附加金切手

 前回アフガニスタンの「赤新月」に対する強制附加金切手を紹介しましたが,今日ももう1枚ということで,同じくイスラム国家のトルコが発行した同様の切手です。   上の切手は1928年に発行された「赤新月」に対する強制附加金切手で,トルコの地図と赤新月がデザインのシンプルな図案の切手ですが,地図の方をよく見ると,トルコの河川や湖の分布がよくわかり,一種の水系図のような役割も果たしています。  トルコの川や湖といってもなじみがないと思いますが,東部に見えるのが同国最大のワン湖で,乾燥地帯のため塩湖になっています。さらに現在の地図帳を見てみると,切手図案の地図にはない大きな湖がいくつか目につきます。図案の赤新月とワン湖の間にはダム建設によってできた大きな人造湖が現在はできています。

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アフガニスタン 強制附加金切手

 前回,イスラム国家の中で新月をデザインに取り入れた国旗の国をいくつか切手印面の中から紹介しましたが,今日の切手は,地図とイスラムの象徴である新月の組み合わさったデザインの切手です。  上の切手は1958年にアフガニスタンから発行されたものですが,同国の国土と赤い新月がデザインのシンプルな地図切手です。地図の方は同国の国土形態がよくわかるデザインでいいのですが,赤い新月は「赤新月」を表しています。「赤新月」はいわゆるイスラム国家以外の「赤十字」に相当するものです。  すなわち,この切手はある一定の期間に限って,全ての郵便物に赤新月に対する寄附金を強制的に課すために発行された切手で,その期間郵便利用者は通常より高い郵便料金を払うことになるわけです。切手収集では強制附加金切手と分類されるこのような切手は,ヨーロッパの国では同じく赤十字への寄附を課すために発行した国がありますが,日本では発行されたことはありません。  日本でもいわゆる寄附金付切手は今までにも数多く発行されていますが,その切手を使うかどうかはあくまでも郵便利用者の自由意志ということになります。今回の東日本大震災に対しても6月に発行されています。できることなら今回のような大災害では強制附加金切手として発行しても良かったのではと思ったりしますが,郵便自体の利用(切手の利用)が減っている現状ではどのような結果になるかわかりませんが。

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トルコ系とインド・イラン系

 先日来,北アフリカのイスラム教アラブ国家の地図切手を国旗を交えて紹介してきましたが,もちろんイスラム国家の全てがアラブ国家というわけではありません。    ということで今日取りあげたのが上の切手です。2007年にイランから2006年に開催された第3回経済協力機構郵便事業会議を記念して発行されたもので,加盟国10ヶ国の地図と国旗が描かれています。これらの国々は地図でわかるように連続した地域に分布していますが,実のところは地理的に分類すると西アジア,南アジア(パキスタンは現在のインドなどとともに英領インド植民地を形成していたため,通常はインドと同じく南アジアに分類します。),中央アジア(旧ソ連のうちカスピ海東部地域の5ヶ国),カフカス地域(旧ソ連のうちカスピ海西部の3ヶ国)に分類されます。  すなわち民族の交錯する地域と言いかえてもいいわけですが,この10ヶ国の共通点はイスラム教国家だということです。国旗を見てみると半数の5ヶ国の国旗が新月と星のデザインが描かれています。民族的にはどうかというと,トルコ系の国がトルコなど6ヶ国,インド・イラン系がイランなど4ヶ国になります。さてその振り分けと10ヶ国の国名がすぐに答えられる方はかなりの地理通ということになります。  ちなみに,先日日本男子サッカーチームがワールドカップ予選で戦ったウズベキスタンはトルコ系国家になります。

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