南極条約(2)

 前回に続いて南極条約50年を記念する切手をもう1枚ということで,今日の切手は,昨年ロシアから発行されたものです。  前回の仏領南極の切手とちがって,この切手図案の南極大陸の地図には経緯線が示されていませんが,このあたりはデザインとしての地図の描き方のちがいが出てくることになるのでしょうか。  ただ,南極大陸を地図に描く場合,中央の経線が経度0度と180度になるように描くのが定番という感じで,上の切手の地図の場合もこの点に関しては,先日の仏領南極の切手と同じです。  もう一つ,この2枚の切手の地図の共通点としては,南極大陸の輪郭線が同じように描かれていることですが(普通に考えれば当たり前の話ですが),実はこの2つの地図,正確には南極大陸の部分を示しておらず,実際の南極大陸はもう少し小さくなります。  これは,一方の端が大陸とつながって海に浮かんでいる氷厚,面積とも大きい,棚氷と呼ばれる年中融けない氷の塊も含めて地図に描いているためです。衛星画像による地図を見ると,むしろこの切手図案に近い形で描かれていることになります。

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南極条約

 一昨日に続いて周年記念の地図切手ですが,今日の切手は南極条約50年を記念して,昨年フランス領南極から発行されたものです。  図案のデザインとしての地図は,南極大陸を描く定番のものですが,この地図を眺めて,ちょっと考えてみましょうということで,描かれている経線の数から経度30度ごとに区切られていることがわかりますが,地図の中央の上下の経線は経度何度の線かおわかりでしょうか。  正解は上半分が経度0度,下半分が経度180度です。地図の左上の方に突きだしているのが南極半島で,この半島は南米アンデス山脈に続く造山帯の一部です。すなわち,左上に広がるのが南大西洋ということになります。  それでは緯線の方は何度間隔で描かれているかと言いますと, こちらは10度間隔で南緯80,70,60度の緯線になります。そしてよく見ると,その間隔が等間隔で描かれていることから,この図法は正距方位図法とわかります。

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欧州評議会

 今日はヨーロッパ大陸に戻るという感じになりますが,上の切手は,昨年アルバニアから欧州評議会60年を記念して発行されたものです。  この欧州評議会(Council of Europe)は正式なEU機関ではなく,EUの諮問機関ということになりますが,EUにとっても政治,経済,社会など各分野の協力という点では共通する分野の多い組織です。  昨年が60周年ということで,設立はEUよりも古い1949年になります。現在の加盟国はEU加盟国27ヶ国に加えて,ロシアなど旧ソ連のヨーロッパ諸国も含めて全欧州に広がり45ヶ国です。ちなみに,日本もアメリカ,カナダなどとともにオブザーバーとして参加しています。  図案の地図は各国の国旗色デザインというよくあるパターンの地図切手ですが,よく見るとセルビアから分離したモンテネグロとコソボは別国旗で描いていません。

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