メルカトル(3)

 地図学者メルカトルを描いた切手を続けましたが,今日はそのメルカトルが1569年に発表した有名な世界地図の一部が図案の切手です。  上の切手はモーリシャスから2002年に発行された古地図シリーズの1種で,残念ながら世界全図ではないのですが,自国すなわちモーリシャス付近の部分を図案にしています。モーリシャスはマダガスカル東方のインド洋上に浮かぶ小さな島国なので,図案の地図を見るとマダガスカル付近の地図と言った方がいいかもしれません。  この1569年の世界図は,地図上で任意の2地点間の直線が等角航路を示すというメルカトル図法で描かれた地図で,航海用には最適な地図ということで,現在でも海図に用いられる図法になっています。  それにしても残念なのは,この1569年のメルカトルの地図を世界全図で描いたものを図案にした切手が登場していないことです。

続きを読む

メルカトル(2)

  一昨日に続いて今日もメルカトルの肖像を描いた切手です。このメルカトル,メルカトル図法の考案者,すなわち地図学者としてあまりにも有名ですが,1569年の世界図製作より以前の1541年に地球儀も製作しています。  上の切手は,1962年にベルギーからメルカトル生誕450年を記念して発行されたもので,地球儀を手にするメルカトルが図案になっており,記念印が押されているFDC(初日カバー)のカットです。記念印を見ると,彼の生誕地である東フランドルの都市,ルプルモンドの名が記されています。  メルカトルが1541年に製作した地球儀は直径41cmの大きさで,その一つは,多くの古地図や地球儀,天球儀を所蔵していることで有名な奈良県の天理図書館に所蔵されています。

続きを読む

メルカトル

 一昨日,「世界の舞台」を刊行したオルテリウスと地図学者メルカトルが同世代で交友があったことを紹介しましたが,今日はオルテリウスに続いてメルカトルの登場です。上の切手は一昨日のオルテリウスの切手と同じシリーズの1種で,1942年ベルギー発行の結核予防付加金付切手です。  オルテリウスの「世界の舞台」は同時代の地図製作者が描いた地図やそれらを参考にオルテリウス自身が描いた地図を収録して完成させた地図帳ですが,1570年初版の巻頭を飾る世界図も,実はその前年に製作されたメルカトルの世界図を参考にしており,東南アジアの島々や南米大陸の西岸,さらに未知の南方,北方大陸などはよく似た形状に描かれています。そして,日本列島の形態も類似しており,いわゆる「メルカトル型」の日本と称されるものです。  このように,世界図や多くの地域図を収録して地図帳を製作するという構想はメルカトル自身も当初から持っており,それをオルテリウスが先取りした格好になったわけです。

続きを読む