ワリス・フツナ

 昨日紹介しオセアニアのフランス領のうち,今日はワリス・フツナの地図切手です。同地域は昨日も書いたように東太平洋に分布しますが,上に取りあげたのは,それを示すように経緯線の入った地図切手で,1978年に発行された航空切手です。  図案に示されるのはワリスで,主島のエヴァ島とその周囲に分布する多くの島からなっており,エヴァ島を取り囲むようにサンゴ礁が発達していることがわかります。そして,エヴァ島の地形をわかりやすくするレリーフ式の立体表現は見事です。  このようなレリーフ式表現で描いた地図切手は,フランス領の島嶼地域から発行される切手に多く登場しており,見る側に(少なくとも私には)一種の感動を与えてくれる切手になっています。

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オセアニアのフランス領

 先日紹介したニューカレドニアも含めて,オセアニアにはフランス領の島が今でも多く分布しますが,行政的にはニューカレドニア,ワリス・フツナ,フランス領ポリネシアの3地域に区分され,それぞれ独自の切手が発行されています。  上の切手はそのうちのワリス・フツナから,1994年に南太平洋地理学の日を記念して発行された航空切手で,同一図案の切手がニューカレドニアからも共同発行されています。  図案にはフランス領各島が地勢図として描かれており,おおまかな地形の様子がわかります。実際には図案のように各島が接近していることはなく,中央部のワリス・フツナ(中央部左側がフツナ島,右側がワリスの主島エヴァ島)と一番右側のタヒチ島(フランス領ポリネシアの中心)は,メラネシアに属するニューカレドニアに対して,東太平洋すなわち西半球に位置し,ポリネシアに属しています。

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ニューカレドニア(2)

 一昨日に続いてフランス領ニューカレドニアですが,同島は観光業だけではなく,世界的なニッケルの産地としても知られており,日本の企業も進出しています。そのため,気候的にすごしやすいと言うこともあって,フランス人を中心にヨーロッパ系住民も多く居住し,人口の4割弱を占めています。そして,カナックと呼ばれるメラネシア系の先住民がこれを上回る4割強という構成になっています。  同島では,その先住民が1985年以降独立運動を展開しており,民族紛争地域にもなっています。2014年以降に住民投票が行われることになっていますが,実施も含めてその動向が注目されます。  上の切手は,1981年発行の同島を2分するように色分けした地図切手ですが,この区分は先住民とフランス系住民の分布や対立を示しているものではなく,行政的な区分としての北部州と南部州の区分を示しています。  この2区分は非常にわかりやすい色分けですが,その延長上の海の部分も緑色系統で描くデザインの感覚とその良し悪しはよくわかりません。

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