JAPEX 2008

 いよいよ明日11月1日から,全国切手展JAPEX2008が3日間の日程で開催されますが,昨年とちがって本年は私自身は出品していないということで参観だけになりますが,3日目に上京の予定です。  協会ホームページの出品リストを見ると,テーマティク部門はレギュラークラス,ワンフレームクラスともに11作品ずつで合計22作品と昨年の20を上回って,2年前,3年前の23に近づいています。何はともあれ出品数が増えるというのは好ましいことです。  「郵趣」に連載中の「テーマティク入門講座」などを参考に新しく出品される方が増えて,出品数がこのまま上昇傾向で続いてほしいものです。色々なテーマの作品が数多く並んで,テーマティク出品者としても毎年見応えのある切手展になれば理想的です。  当日は16時までということで,講演会や例会もあり,企画展や他の部門の作品をどこまで参観できるか,ちょっと時間的に苦しいかなという感じです。

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ベハイム型の日本

 ここ数日,ヨーロッパ人製作の古地図に描かれた日本について,その形態からテイセイラ型,オルテリウス型,メルカトル型と区分があることを紹介しましたが,これら以前には南北に細長い想像形の日本を描く時代が続きました。この型はベハイム型と称され,1492年に製作された現存最古の地球儀として知られるドイツ人ベハイムの地球儀に描かれたジパング(日本)からその名がきています。  ベハイムはマルコ=ポーロの東方見聞録の記述から,アジア大陸の東にジパングを描いており,まだアメリカ大陸の存在がわからなかった当時のヨーロッパ人の世界観を表すように,ヨーロッパから大西洋を隔ててジパングが位置していました。  このベハイムの地球儀製作と同年にコロンブスが新大陸に到達し,その後マゼランの世界周航によって太平洋の存在が明らかになった後の地図として今日紹介するのが,1540年に製作されたミュンスターの地図です。  上の切手は1992年に新大陸到達500年をテーマに発行されたヨーロッパ切手のオーストリア発行分の切手で,南北アメリカ大陸とアジアの間に,太平洋そして南北に細長いベハイム型の想像形日本が描かれているのがわかります。そしてその位置はむしろアジア大陸の中国よりアメリカ大陸の方に近く描かれているのが特徴です。1543年ポルトガル人の日本来航以前に描かれた地図ということをよく物語っています。

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アニアン海峡

 一昨日拡大図を紹介した,世界遺産シリーズ「石見銀山」の切手のタルタリア図ですが,同じ図案を今日も再登場させます。地図をよく見ると,アジア大陸と北米大陸の間にアニアン海峡という地名が記されています。  このアニアン海峡というのは,あくまでも仮想の海峡であって,ヴェネチアの地図製作者ガスタルディが,マルコ=ポーロの「東方見聞録」にみられるアニアという地名をアジア北西端に位置するものと誤って,この想像上の海峡の名に付したことがはじまりです。  そして,この想像上のアニアン海峡はメルカトルの世界図,オルテリウスの地図帳にも取り入れられ,タルタリア図にも登場するわけです。ちなみに,マゼランの太平洋到達,世界周航以後,16世紀中頃までは,アジア大陸と北米大陸を連続させて描いた地図も多く製作されていました。  その後,150年以上を経たベーリングの1728年の探検によって,実際にこの両大陸の間に海峡が存在することが証明されることになります。

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