ポルトガル領

 一昨日アンゴラを取りあげて,1975年にポルトガルから独立したと紹介しましたが,アフリカではアフリカの年と呼ばれる1960年を中心に1960年代に英,仏植民地から多くの国が独立を達成します。 その中で,最後の植民地帝国と呼ばれたポルトガルはなかなかその植民地の独立を認めず,ポルトガル領は独立が最も遅くなります。アフリカでは1973年に独立したギニアビサウ,そしてアンゴラ,モザンビーク,島嶼国家のサントメ・プリンシペ,カーボ・ベルデが1975年に独立します。  ということで,今日の切手は1954年にポルトガル領サントメ・プリンシペからポルトガル大統領のポルトガル領訪問を記念して発行されたもので,当時のポルトガル領が示された地図切手です。  図案の地図には,上記のアフリカ諸国以外に,東ティモール,中国に返還されたマカオ,インドが奪還したディウ,ダマン,ゴアのポルトガル領インド,そして本国の西海上に位置する現在もポルトガル領のマデイラ,アゾレス諸島が地名とともに赤く示されています。  ポルトガル領といえば,何と言ってもブラジルがあるわけですが,その独立は他の旧スペイン領南米諸国と同様に1800年代と1世紀早く,図案の地図はアメリカ大陸も描かれていません。

続きを読む

アンゴラ

 連日OPEC加盟国の切手を取りあげてきましたが,その最後として今日は2007年に新しく加盟したアンゴラの地図切手です。上の切手はMPLA結成40年を記念して同国から1996年に発行されたものです。    同国は15世紀末にポルトガルが植民地経営を開始して以来長らくその支配が続きますが,1956年MPLA(アンゴラ解放人民軍),1965年にUNITA(アンゴラ全面独立民族同盟)がそれぞれ結成され,MPLAが1975年に独立を宣言します。しかし,独立直後からUNITAとの内戦状態に入り,一時期和平協定が成立するものの,結局最終的にはようやく2002年に,独立後27年間におよぶ内戦に終止符を打ちます。  切手図案はイルカがメインで,海に関する切手のようですが,印面右側にアフリカの中でのアンゴラの位置を示す地図が描かれています。そしてこのアンゴラが面している海,すなわちインド洋沿岸で原油が採掘されています。  近年産油量の増加が著しい同国ですが,最も古い油田は同国の北西端,コンゴ民主共和国をはさんだ飛び地のガビンダ沖の油田です。図案の地図をよく見ると,その飛び地もしっかりと描かれています。

続きを読む

クウェート

 1960年結成のOPEC原加盟国が5ヶ国と昨日書きましたが,その一つにペルシア湾岸の小国クウェートがあります。そこで今日はそのクウェートの石油関連の地図切手を取りあげました。  上の切手は,連日取りあげてきたOPEC結成20周年の記念切手ではなく,以前にも紹介した切手なのですが,同国のブルガン油田発見30年を記念して1968年に発行されたものです。図案にはクウェートの地図とともに,含油層を含むトラップ構造の地質断面図が描かれています。  このように地層が褶曲して地表面に向かって曲がっている部分を地層の背斜部と言いますが,こういう場所では石油分が水と分離して含油層の上部に溜まってくるため,原油が採掘しやすい構造になっているわけです。  そして,このような背斜部のトラップ構造が形成されやすいのは,新しい褶曲山脈が多く存在する新期造山帯,すなわち変動帯の地域で,以前地震の多い地域と紹介したアルプス=ヒマラヤ造山帯のペルシア湾岸~イラン,カフカス地方はその例に該当します。

続きを読む