メルカトル図法
先日,世界地図変遷史に対してもう一つの地図史があると書きましたが,その「もう一つの地図史」の中には地図投影法の考案の歴史があります。
球面の地球をいかに平面の地図に描くか!という地図投影法は,古代プトレマイオスが世界を円錐図法で描いたように古くから考えられ,アメリカを初めて記したヴァルトゼーミュラーの世界図も地図投影法の原理を用いています。
地球上の正反対の地点である2箇所をそれぞれ中心として二つの平射図法の半球図を並べて世界全図にしたものも古くから用いられていますが,1569年にメルカトルが考えた世界図は,経緯線の間隔を同じ拡大率で描いて直交させ,任意の2地点間の直線が等角航路を示すという画期的な地図で,地図の形を長方形というイメージにした図法で長らく世界地図の定番として使われてきたわけです。
上の切手(料額印面)は,そのメルカトル図法で描いた太平洋中心の地図で,ハワイで発行された外信用の官製葉書です。