南極(英領南極)

 南極大陸は同大陸における探検や調査の実績などを根拠に,7つの国が領有権を主張していますが,現在まで6ヶ国の領有主張切手を紹介してきました。最後の7番目として今日取りあげたのがイギリスです。  上の切手は2000年にロンドンでの国際切手展開催を記念して英領南極から発行された小型シート中の6連刷切手の1種です。各切手には1955~58年に実施された英連邦南極横断探検に関連する図案が描かれており,そのうちの1種がこの南極大陸の地図切手ということになります。  図案の地図には赤線で横断探検ルートとともにイギリスが領有を主張する範囲も示されています。さらに地図をよく見ると,大陸の海岸線とともに棚氷の分布も黒い実線で示されています。南極大陸と棚氷は白く描かれており,色彩的にはシンプルですが,かえってそれが南極のイメージに合っているのかもしれません。

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南極(ロス海属領)

 南極の領有を主張する地図切手として,南極半島に近い南米の2つの国の切手を紹介しましたが,今日も同じ南半球の太平洋の島国ニュージーランドです。  ところが,上の切手にはニュージーランドの国名表記がありません。その代わりに「ロス海属領」という表記がみられるのですが,これはニュージーランドが,以前も紹介したロス棚氷が広がるロス海とその沿岸部の領有を主張しているためです。  上の切手はそのニュージーランドの「ロス海属領」から発行された1番切手シリーズの1種です。図案の地図は南極大陸の全域ではないのですが,ニュージーランドとその南にあたる南極大陸の部分が描かれており,その位置関係がよくわかります。すなわち,ロス海に最も近い国がニュージーランドということになります。  そしてニュージーランドからこのロス海付近を通って,南極半島に至る部分が環太平洋造山帯に属する南極横断山脈になっています。

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南極(チリ)2

 今日の南極領有主張地図切手は,昨日のアルゼンチンの隣国で同じ南米のチリの切手です。上の切手は1973年にベルナルドオイギンス基地設置25周年を記念して発行されたものです。  図案の地図にはチリの領有主張地域が色鮮やかに赤く塗られています。そして経緯線が示され,経度は10度間隔,緯度は5度間隔で描かれており,領有主張範囲の経度も西経53度から90度までと数字ではっきりと示されています。アンデス山脈から続く南極半島を含むこの赤く塗られた主張範囲は,昨日のアルゼンチンの領有主張範囲と重なり合っていることになります。  そしてこの図案の地図の特徴は南極を頂点に描いていることで,普段よく見かける北極を中心に描いた地図の様な感じになっており,非常に新鮮なイメージを与える地図で,グッドデザイン賞を贈りたくなってしまいます。

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