切手で読む地図の楽しみ

　ユーラシア（ヨーロッパ，アジア），オセアニア，南北アメリカの各大陸（地域）を描いた地図切手を続けてきましたが，今日からはアフリカ大陸に入ります。 　まずその最初ということで，上の切手は1988年にコートジボワールからＯＡＵ（アフリカ統一機構）設立25周年を記念して発行されたものです。このＯＡＵは現在ＡＵ（アフリカ連合）に変わっています。 　同機構は現在脱退中のモロッコ以外のアフリカ全国家が加盟していますが，文字通りアフリカ大陸全体を描いた地図が図案になっています。 　この図案の地図をルーペでのぞくと，独立国で同機構にも加盟している大西洋上のカーボベルデや赤道ギニアのビオコ島，さらにはインド洋上マダガスカル東方のモーリシャスもしっかり描かれています。ただ，マダガスカル北方のセイシェルや西方のコモロはさすがに小さすぎるのか描かれていません。逆にアフリカ国家ではなくスペイン領になっている北大西洋上のカナリア諸島が描かれているのが面白いところです。

　昨日，南北アメリカ大陸は，地理的な区分ではパナマ地峡で分けられると書きましたが，今日はそのうち北米大陸だけを描いた地図切手です。 　上の切手は1967年にアラビア半島南部，現在のイエメンにある首長国マハラからアメリカのアイダホ州で開催された世界ジャンボリー大会を記念して発行されたものです。 　現在のイエメンは北イエメンと南イエメンが統合された国家ですが，統合前の南イエメンの前身である南アラビア連邦の首長国の一つがこのマハラで，1967年以降独自の切手を発行していました。その1種が今日の切手ということになります。 　図案の地図にはカナダ，アメリカとメキシコからパナマまでの中米諸国を描いていますが，注意深く見ると，パナマ地峡以北を描いているように見えるのですが，そうであれば純粋な北米大陸を描いためずらしい地図ということになります。

　今日は南北アメリカ大陸のうち，南米大陸だけを描いた地図切手です。上の切手は1992年にパラグアイからアスンシオン条約1周年を記念して発行されたものです。 　このアスンシオン条約は，南米南部共同市場（メルコスール）の結成を取り決めた条約で，同機構はブラジル，アルゼンチンの両大国 とその間に位置するパラグアイとウルグアイを加えた4ヶ国による自由貿易圏をめざすものです。 　図案には南米大陸の地図の中でその4ヶ国を赤く塗り分けた地図と国旗が描かれていますが，小国のパラグアイとウルグアイは完全に国旗に隠れています。ただし，この切手は2種発行のうちの1種で，もう1種の切手の地図にはこの両国もはっきり見えるように描かれているのですが，逆に南米大陸の北部が隠れて大陸の輪郭がわかりにくくなっています。 　ちなみに，純粋な地理的区分の南米大陸というのは，パナマ地峡（中米諸国に属するパナマの中央部でパナマ運河が通っている）によって分けられ，それ以南が該当することになり，この切手の地図は南米諸国を描いた地図という表現の方が正確かもしれません。